宵闇市ガイド創刊号|序章・第1ページ「この冊子について」

宵闇市まるごとガイド 創刊号

この冊子について

ようこそ、宵闇市へ。

この冊子は、宵闇市をより深く、より楽しく、そして安全に満喫していただくための総合ガイドです。
観光はもちろん、移住や日々の暮らし、ちょっと専門的な話まで、幅広い情報をまとめています。
初めて訪れる方にも、すでにお住まいの方にも、きっと役立てていただけると思います。

ただ、観光地のいいところだけを紹介するつもりはありません。
街の魅力を正確にお伝えするために、記録できる範囲で事実も掲載しています。

ぜひ、最後まで読んでみてくださいね。

なお、掲載情報は発行時点のものです。
宵闇市は日々更新されているので、この冊子も毎年改訂されます。
新しい情報が加わることで、ページ数が増える場合もあります。

減ることはありません。

この冊子の入手について

ところで、この冊子をどこで手に入れたのか、覚えていますか?

実は、入手経路についてのご質問にはお答えできないことになっています。
書店では販売していませんし、図書館にも所蔵されていません。市役所の窓口でも配布はしていないんです。

それなのに、毎年必ず流通しているんですよ。
……不思議ですよね。

これまでにも、商店街のベンチや駅前のパンフレットラックの下段、海岸にある自動販売機の横など、さまざまな場所で見つかっています。
袋小路の電柱の根元に置かれていたこともあるそうです。

もし、どこかでこの冊子を見つけたら、必ず元の場所へ戻してください。

これはお願いではなく、規則です。

読み終えた方へ

もうひとつ、この冊子には少し変わった決まりがあります。
最後まで読み終えた方は、宵闇市に一度は滞在したことになります。

実際に宵闇市を訪れたことがなくても構いません。
読了は滞在と同じ意味を持ちます。

わかります、突然そんなことを言われても、よくわからないですよね。
でも、難しく考えなくて大丈夫です。

この街は、訪れる方を歓迎しています。
歓迎しなかった例は、これまで一度も報告されていません。

安心して過ごせる街です

さて、宵闇市がどんな場所なのか、少しだけご紹介しましょう。

宵闇市は、人口規模でいえば大都市圏に匹敵する街です。
商業施設や医療機関、教育施設はもちろん、港や文化施設も整っているので、観光にも生活にも便利なんですよ。

行政サービスも充実していますし、子育て支援も手厚い地域です。
治安も安定していて、重大事件はほとんど発生しません。未解決事件もほとんどないんです。

もちろん、行方不明届が提出されることはあります。
でも、そうした場合も速やかに所在確認が行われています。

統計は安定しています。数字も、とても美しい曲線を描いています。

宵闇市の魅力は、何といっても安心と静けさです。
夜は静かで、海は穏やか。商店街には柔らかな灯りがともり、公園もきちんと整備されています。

袋小路は通り抜けできませんが、行き止まりには必ず空があります。
撤去された公園の遊具についても、公式記録に基づいて適切に処理されています。

不足しているものはありません。
欠けているものもありませんし、記録もきちんと整っています。

それなのに、どうしてこの冊子が存在するんでしょうね。

……ごめんなさい。この質問には、お答えできないんです。

答える必要がないためです。

ただ、ひとつ覚えておいてください。

宵闇市は安全な街です。

安全な街に裏ガイドが存在したとしても、別におかしなことではありませんよね。
むしろ、安全な街だからこそ、きちんと記録を残しておく必要があると思うんです。

何も起きていないことを、何度でも確認するために。

宵闇市を楽しんでくださいね

少し堅苦しい話になってしまいましたね。
せっかく宵闇市に興味を持っていただいたのですから、ぜひ、この街ならではの観光を楽しんでください。

四季折々の風景を眺めたり、昼間の海岸を散歩したり、商店街で買い物をしたり。展望台からの夜景もおすすめですよ。

ただし、夜間の単独行動は控えるようにしてくださいね。
これは一般的な注意喚起です。
特別な意味はありません。

最後に、編集について

そういえば、この冊子には編集者の名前が書かれていないことにお気づきでしょうか。

署名は必要ないと判断されたそうです。
宵闇市のガイドは、誰か個人の所有物ではありません。
この街が書いているからです。

それから、この冊子は閉じたあともページが増え続けます。
あなたが読む前から増えていましたし、今この文章を読んでいる間にも増えています。
増えたページは、次の改訂版に反映されることになっています。

ただ、改訂日が記載されることはありません。発行部数についても記録は残されていないんです。
それでも、毎年必ず足りています。不足したという報告は、これまでありません。

さて、最初から少し変わったお話が続いてしまいましたね。

それでは、改めまして。

ようこそ、宵闇市へ。

ここは、安心して滞在できる街です。

まずは、外から見た宵闇市をご案内しましょう。


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