受付番号:YL-H37-0902
投稿情報
| 選択項目 | 選択・記入された内容 |
|---|---|
| 投稿方法 | 手紙 |
| 性別 | 女 |
| 年代 | 60代 |
| 居住地 | 市外(夕凪県内) |
| 対象地域 | 宵闇市内 |
| 内容の分類 | その他・体験談 |
| 回答希望 | 希望しない |
| 掲載同意 | 同意する |
受付・対応状況
| 管理項目 | 内容 |
|---|---|
| 受付日 | 平成37年8月25日 |
| 対応状況 | 内容確認済み |
| 担当 | 市民の声担当窓口 |
お寄せいただいたお便り
突然のお手紙を失礼いたします。
私は現在、夕凪県内の別の市に住んでおりますが、生まれ育ったのは宵闇市です。
今年のお盆に、久しぶりに実家のあった場所を訪ねました。
実家そのものは、もうありません。
父が亡くなったあと、母もしばらくして施設に入りましたので、家は売却しました。
私自身もその頃には結婚して市外に暮らしており、以後はほとんど訪れることがありませんでした。
けれども、今年はどうしても昔の家が見たくなったのです。
理由は自分でもよくわかりません。
年を取ると、子どもの頃のことを思い出すのでしょうか。
昔住んでいた辺りは、ずいぶん様子が変わっていました。
新しい家が増えて、知らないお店もありました。覚えていた道がなくなっていたり、思っていた場所と違うところに曲がり角があったりして、少し迷ってしまいました。
それでも、昔の家があった辺りにはたどり着けました。
そこに家がないことは知っていましたので、特別に悲しいとは思いませんでした。
ただ、しばらく立っていると、昔のことを次々に思い出しました。
父は、仕事から帰ってくると、いつも玄関先で靴を脱ぐ前に私の名前を呼ぶ人でした。
私はそれが嫌で、何度も注意したことがあります。
帰ってきたなら、先に靴を脱いで手を洗ってほしい。
せめて部屋まで来てから話しかけてほしい。
そんなことを、何度も言いました。
父はそのたびに笑っていました。
その日も、そんなことを考えていたのです。
そうしたら、名前を呼ばれました。
本当に、聞こえたのです。
昔と同じ声でした。
振り返ると、父が立っていました。
いつも着ていた薄い色の半袖シャツを着て、買い物袋を片手に持っていました。
私は驚いて、何も言えませんでした。
父は、私を見て笑いました。
「帰ってきたのか」
そう言いました。
私は、はい、と返事をしたと思います。
父はそのまま、私の横を通って歩いていきました。
私はしばらく立ち尽くしていました。
追いかけようとは思いませんでした。
どこへ行ったのかも、見ていません。
ただ、もう一度会えたのだと思いました。
父が亡くなったのは、もう二十年以上も前のことです。
見間違いだと言われれば、そうなのかもしれません。
暑い日でしたし、久しぶりの帰省で疲れていたのかもしれません。
けれども、あの声だけは間違いようがないのです。
私は今まで、こうした話を信じたことがありませんでした。
誰かに話しても困らせるだけだと思い、家族にも言っていません。
ただ、今回、宵闇市へお手紙を出そうと思ったのは、父が最後までこの町を好きだったからです。
生まれ育った町について、父はよく話していました。
私が市外に嫁いだときも、いつでも帰ってこい、と言ってくれました。
今になって思うと、あの日は本当に帰ってきたのだと、父に伝えられたような気がしています。
何か調べていただきたいわけではありません。
お返事も必要ありません。
ただ、こんなことがあったと、どこかに残しておきたかったのです。
長いお手紙を読んでいただき、ありがとうございました。
宵闇市の対応について
お寄せいただいたお手紙について、市民の声担当窓口で内容を確認しました。
本件は、投稿者ご本人の個人的な体験としてお寄せいただいたものです。
市では、体験の内容について事実関係を確認・認定するものではありません。
また、投稿者から個別の回答や調査は希望されていないため、個別の照会等は行っていません。
掲載にあたっては、ご本人の同意を確認し、個人を特定できる情報や具体的な所在地などを省略しています。
掲載にあたって
本記事は、投稿者ご本人から掲載への同意をいただいた内容をもとに公開しています。
掲載に際しては、氏名、連絡先、詳細な所在地など、個人を特定できる情報を省略しています。
また、読みやすさや個人情報保護のため、原文の一部を調整している場合があります。
投稿者の体験や見解は、ご本人から寄せられた内容であり、宵闇市がそのすべてについて事実確認や認定を行ったものではありません。
市の回答および対応概要は、掲載時点で確認できた情報に基づいています。